令和元年東日本台風(台風19号)の被害

水害・台風

令和元年東日本台風とは?死者・被害・台風19号の特徴をわかりやすく解説

台風に固有の名前がつくのは、42年ぶりのことでした。2019年10月に日本を襲った令和元年東日本台風(台風19号)は、神奈川県箱根町で降水量922.5ミリという全国歴代1位を記録し、東日本の各地で堤防が決壊。亡くなった方は100人を超え、台風としては40年ぶりの規模となりました。なぜここまで被害が広がったのか、記録をたどりながら振り返っていきます。

令和元年東日本台風はいつ発生した?台風19号の特徴

令和元年東日本台風はいつ発生した?台風19号の特徴

「令和元年東日本台風」という呼び名は、後からつけられた正式名称です。台風そのものは2019年10月6日にマリアナ諸島の東の海上で発生し、わずか39時間ほどで中心気圧915ヘクトパスカルの「猛烈な」勢力にまで急発達しました。日本の南から北上し、勢力を保ったまま10月12日の19時前、静岡県の伊豆半島に上陸します。

上陸時の中心気圧はおよそ955ヘクトパスカル、最大風速は40メートルで、「大型で強い」勢力。関東を縦断したのち、13日12時に東の海上で温帯低気圧へと変わりました。ここまで読むと「一晩で通り過ぎたの?」と感じるかもしれません。ところが被害を決定づけたのは、風ではなくだったのです。

キャラアイコンノーマル

ちなみに気象庁がこの台風を「令和元年東日本台風」と命名したのは、翌2020年2月19日のことでした。台風に名前がつくのは1977年の沖永良部台風以来で、それだけ後世に記録を残すべき災害だったということですね。

令和元年台風19号の水害はなぜ広がった?東日本豪雨の実態

令和元年台風19号の水害はなぜ広がった?東日本豪雨の実態

この台風の恐ろしさは、雨の「量」と「広さ」に尽きます。気象庁は12日の15時30分に静岡・神奈川・東京・埼玉・群馬・山梨・長野の7都県へ大雨特別警報を発表し、その後さらに拡大。半日で13都県という、特別警報の運用開始以来もっとも多い発表数となりました。

雨量も桁違いでした。箱根では降り始めからの総雨量が1000ミリを超え、1日の降水量922.5ミリは全国の観測史上1位。全国17地点で総雨量500ミリを上回りました。増水に耐えきれなくなった河川は各地であふれ、堤防が決壊した箇所は142か所にのぼります。「令和元年東日本豪雨」とも呼ばれるほど、雨による被害が主役でした。

象徴的だった千曲川の決壊

長野市穂保では千曲川の左岸が約70メートルにわたって決壊し、近くのJR長野新幹線車両センターが浸水。北陸新幹線の車両120両(10編成/全体の約3分の1)が水没し、その多くが廃車になりました。長野市内の浸水面積は約950ヘクタール、東京ドーム約200個分にあたります。

さらに土砂災害は20都県で952件発生し、これは1982年に統計を取り始めてから、1つの台風によるものとしては過去最多。水と土砂が同時に、これほど広い範囲を襲った災害はめったにありません。

令和元年東日本台風の死者数と被害の全体像

気になる人的被害を見ていきましょう。この台風で亡くなった方は100人を超え、消防庁の集計では死者104人・行方不明者3人(2020年4月時点、うち災害関連死7人)。その後の集計では死者・行方不明者が108人にのぼるとされています。台風で死者が100人を超えたのは、1979年以来じつに40年ぶりのことでした。

悲しい

屋外で流されたり、車での移動中に被害に遭われた方が少なくなかったと伝えられています。ひとつひとつの数字の向こうに暮らしがあったことを思うと、胸が痛みますね。

住まいへの被害も甚大でした。全壊3,229棟、半壊28,107棟、一部破損40,212棟、床上浸水7,524棟、床下浸水21,549棟。あわせておよそ10万棟の住家が傷ついています。経済的な打撃も大きく、令和元年の水害被害額は約2兆1,500億円と、統計開始以来で最大を記録しました。

  • 死者・行方不明者:100人超(消防庁集計で死者104人・行方不明3人ほか)
  • 住家被害:全国で約10万棟(全壊3,229棟を含む)
  • 水害被害額:令和元年で約2兆1,500億円(統計開始以来最大)

被害額が特に大きかったのは福島県(約6,693億円)、栃木県(約2,546億円)、宮城県(約2,512億円)でした。関東だけでなく東北まで、被害が線ではなく面で広がっていたことがわかります。

令和元年台風19号の特徴は「都市型水害」だった

令和元年台風19号の特徴は「都市型水害」だった

この災害を語るうえで外せないのが、都市が水につかったという事実です。当時の写真や映像で、多くの人の記憶に残ったのが神奈川県川崎市の武蔵小杉。多摩川の増水にともなって周辺が冠水し、タワーマンションの地下にあった電気設備が浸水したことで、停電や断水が発生しました。

「最新の高層マンションなら安心」というイメージが、大雨の前ではあっけなく崩れたのです。ここで知っておきたいのが、水害には2つのタイプがあるということ。川の水があふれる外水氾濫と、排水が追いつかず街の中に水がたまる内水氾濫で、都市部では後者も大きな脅威になります。実際、名古屋の街を水浸しにした東海豪雨も、この内水氾濫が被害を広げた都市型水害でした。

川から離れた場所でも、地下や1階は浸水するということですか…?

タイガ

そのとおりです。都市は地面がコンクリートで覆われ、雨水が地中にしみ込みにくい。だからこそ、標高やハザードマップで自宅のリスクを事前に知っておくことが大切なのですよ。

令和元年東日本台風対策として今すぐできる備え

令和元年東日本台風対策として今すぐできる備え

では、同じ規模の台風が来たとき、私たちはどう動けばいいのでしょうか。この災害以降、防災の合言葉として広まったのが「自らの命は自らが守る」という考え方と、5段階の警戒レベルです。避難情報の意味を平時に確認しておくだけで、いざというときの判断が変わります。

  • ハザードマップで自宅の浸水・土砂リスクを確認する
  • 「いつ・何をするか」を書き出すマイ・タイムラインを作る
  • 警戒レベル4(避難指示)までに危険な場所から全員避難する
  • 逃げ遅れたら、近くの頑丈な建物の上階へ「垂直避難」する

特にマイ・タイムラインは、家族構成や住む場所によって最適な行動が変わるため、一人ひとりが作る意味があります。台風は地震とちがい、数日前から接近が予測できる災害。だからこそ、備える時間が残されている数少ない災害でもあるのです。

現代への教訓・防災への学び

令和元年東日本台風がつきつけたのは、「経験したことのない大雨」がもう特別ではなくなった、という現実です。その前年に西日本を襲った西日本豪雨でも200人を超える命が失われており、記録的な豪雨はもう毎年の脅威になりつつあります。気象庁が42年ぶりに名前をつけたのは、この災害を一度きりの記憶で終わらせず、次への備えにつなげてほしいという願いの表れでもありました。

堤防やダムといった「防ぐ」対策には限界があり、最後に命を守るのは一人ひとりの避難行動です。ハザードマップを開く、避難のタイミングを家族で決めておく——ほんの数十分の準備が、明暗を分けます。「まだ大丈夫」がいちばん危ない、この一言をこの災害は残してくれました。

キャラアイコンノーマル

過去の災害を知ることは、未来の自分や大切な人を守る準備そのものです。今日いちど、お住まいのハザードマップを確認してみてくださいね。

令和元年東日本台風はいつ発生した台風ですか?

2019年10月6日に発生し、10月12日19時前に静岡県の伊豆半島へ上陸しました。台風19号として知られ、正式名称の「令和元年東日本台風」は2020年2月19日に気象庁が命名したものです。

令和元年台風19号の死者は何人ですか?

亡くなった方は100人を超えました。消防庁の集計では死者104人・行方不明者3人(2020年4月時点、うち災害関連死7人)で、その後の集計では死者・行方不明者が108人にのぼるとされています。台風による死者が100人を超えたのは40年ぶりでした。

令和元年台風19号の特徴は何ですか?

風よりも「記録的な大雨」による水害が特徴です。箱根で日降水量922.5ミリの全国歴代1位を観測し、堤防決壊は142か所、大雨特別警報は半日で13都県と運用開始以来最多。武蔵小杉の浸水など、都市型水害が目立ったことも特徴でした。

令和元年東日本台風の対策として何をすればいいですか?

まずハザードマップで自宅の浸水・土砂リスクを確認し、「いつ・何をするか」を決めるマイ・タイムラインを作りましょう。警戒レベル4(避難指示)までに全員で避難し、逃げ遅れた場合は頑丈な建物の上階へ垂直避難することが命を守ります。

まとめ|令和元年東日本台風が残したもの

令和元年東日本台風(台風19号)は、箱根922.5ミリの記録的豪雨と142か所の堤防決壊で、100人を超える命と約2兆円規模の被害をもたらしました。42年ぶりに名前がつけられたこの災害が教えてくれたのは、大雨はもう「まさか」ではないということ。今日ハザードマップを開くその一歩が、次の台風から自分と家族を守る準備になります。

-水害・台風
-, , , ,